かくれんぼう

ふふふとあなたは笑い
ふふふと私も笑ってた

波立たぬ海を眺めて
音しない水面を見つめて
私達はあるようでない
向こうにあるはずの島を
探していた

あそこへ行くんでしょう?
あそこにあるんでしょう?

ひとまわりしたら
なくしてしまえる
記憶の儀式

ひとめぐりしたら
失って泣ける
経験の堆積

そんな事が可能な島

頭が溶けそう

波一つ立たない海辺で
向こう岸に
かくれんぼうを
されたから

私とあなたは
見つける事が出来なくて
いつまでも
いつまでも
目を凝らしていた

かくれんぼう

かくれんぼう

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-05-01

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