空白のあいだ

2023.03.19

骨の軋む音で目覚める真夜中にふと想う世の優しい大人たちとはだいたいがマボロシでみんな子どもみたいに孤独に怯えているから人間は平等

2023.03.20

街では誰かの活躍に歓喜する輪が渦のように世界を巻き込んでインターネットをも荒らしてゆく傍観者を決め込んでいるひとたちとの温度差に季節の移り変わりを重ねて

2023.03.21

蜜のように甘い死なんてないと囁く神さまの記憶から忘却されてゆく過去のなかでは美しいひとも優しいひとも残酷なひともみんな胎児

2023.03.22

無地のカーテンを選んだ君が新しい棲み処を明るく彩る存在であればいいと思いながら永遠に私の世界だけを極彩色に染めてほしいとも思う春のひずみ

2023.03.23

メッセージ ひとりぼっちのだれかへの だれかからの言葉を疎ましく妬ましく苛立った様子で眺めている書店の詩集コーナーの前の彼女

2023.03.24

もうなにもかもやめてしまおうと思ったのになにかを想ってしまうとあふれてくるのは言葉 だれかのためではなく わたしがわたしであるためにつなげていく一語から生み出されるのは世界 わたしだけの

空白のあいだ

空白のあいだ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-03-25

Copyrighted
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