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 かなしみをとかして、海とひとつにした。あのこが、ぼくを見ているかもしれないと思うと、居たたまれなかったし、申し訳なかったけれど。(ごめんね、やっかいなものを共有させて)心の中で謝りながら、しらないだれかの欲求のハケグチとなった夜もある。みんな、じぶんがいちばん好きなんだなぁと感心して、ニュース番組で、なんだか毎日、おなじような事件が起こっていて、デジャヴ、というやつを感じている。ときどき、ごはんを一緒に食べる、となりの部屋の新人類が、この星のひとたちはやさしいけれど、やさしさを偽るのもうまい、と言っていて、褒められている気はしなかったけれど、彼的にはそれなりの賛辞に値するようだった。さいきんのひとたちは、インターネットに溺れて、そのまま溺れ死んでしまっているような。救いの手はなく、うきわも。むしろ、さらに深く沈めようとしている媒体(ひと)もいて、こわいなと思う。一度、眠ったあと、朝が来るまでのあいだに、目を覚ましたときの、あの、ぽっかりした感覚に似ている。
 水平線に沿うように、あのこがいる。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-02-10

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