永遠については

大気

春のことがきらいです
ひこうき雲は
いともたやすく
春空をひっかく

春のことがきらいです
パラシュートをつけて
駐屯地に降り立っていく
ごま粒サイズに見える人々

わたしの視線は
灰色のビル璧さえもすり抜けて
どこまでも追いかけっこ

春はすべてが揺らぐ季節

何もわかりません
あなたのこともわたしのことも
それでも春の空気を吸って生きています
生きていかなければ死んでしまうことへの
おそれを抱いて

現世

照れるとき腕をぱたぱたさせる癖、天使の翼みたい、会いたい

もう月に帰れないならラーメンを啜る勢いで結婚しよう

きよらなる(さよならですね)手に触れるあなたの卒業まで四か月

十七歳

永遠については考えないことにした
あなたは髪を切るし
あなたは弱音をこぼす

変わらないのは名前くらいだ
けれど時が来れば変わることになっている
そして時が来れば戻ることになっている

花が枯れる時
緑だった茎が
縮んでいく

心が
いつかしわだらけになるとしても
黙って永久に
観察するしかない
唇を噛むしかない
永遠については考えないことになっているのだ

永遠については

永遠については

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-02-05

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  1. 大気
  2. 現世
  3. 十七歳