Exuviae

 いのちのはんぶんを、きみにあげる。(愛とは)いつの時代も、不可思議。赤い爪のひとに、やわらかい部分を裂かれて。ひらかれて、うちがわを、じっくりと観察されて、指先で、なかみにふれられる。じぶん以外のだれかを、好きになるという衝動的で、感情的な、よくわからないきもちのことを、大体のひとたちはたいせつにしている。ね。

(あ)

(うまれた)

 わたしが、つくりあげた世界は、かくじつに、わたしのものになっていく。
 好きな音楽。好きな本。好きな食べ物。好きなアニメ。好きないきもの。好きな描写。好きな表現。好きな色。好きな愛し方。好きな傷つけ方。折り重なり、層を成して、溶け合い、構築されて。
 骨組みは、二十年前に出逢った一冊の本。

 偏愛はいまもかわらず。
 永遠に、きっと。

Exuviae

Exuviae

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-02-03

Copyrighted
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