如月

 青い。つめをかむ。ひとりはこわいという、だれかのつぶやきは、インターネットのなかで、ひっそりと埋もれてゆく。二月の空気感は、むかし、寂びれたホテルの部屋でみた、せんせいの脱皮のシーンを思い出させる。てのひらにすくえない、だれかの、こわい、という感情のひとつひとつを、ふかふかのブランケットでくるんで、ときどき、刹那的に目を覚ますもの( intent to murder )を、やわらかくするために、あなたの愛をうたがう。うたがいをはらすために、ひっしになるあなたをみて、まんぞくしている。いつか、お菓子の家に棲みたいと願っていた、ちいさなこどもの頃のわたし(ぼく)を、かわいらしいと思いながら、いまは星の膿みたいな存在になった(ぼくたち)わたしたちに、天体はひどく無関心だ。

如月

如月

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-02-02

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