孤独の群れ

 わたしたちの星を傷めつけているのが、わたしたちであること。機械人形となったNがみる夢の、人工的な退屈さと脆さ。ぱきぱきと、いともかんたんに折れる骨みたいに。みだれる心拍。いつも飢えているひとびと。ものたりないが口癖の、あのこたち。深い森に棲まう、バケモノと踊る夜には、だれしもがかなしみをわすれて。狂う。

(おわるね)

 憂鬱そうな表情(かお)で、コーヒーフロートを飲んでる。スーパーマーケットの、こじんまりとしたフードコートの、やけに青白い灯りのしたで、もうひとりのわたしが、スマートフォンでつながっているだけの世界に沈んでいる。空気がひんやりしているのは、生鮮食品コーナーが近いせい。セルフレジが、ときどき、ピーピーとうるさく鳴いて、二十三時にはふつりあいの、チープで愉快な音楽(スーパーマーケットのテーマソング)が流れてきて、わたしたちはいつものようにしらないだれかと、生きているだけでえらいよねと励ましあっている。

孤独の群れ

孤独の群れ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2023-01-31

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