2 0 2 3
街はもうすこしだけ、息をしたいと思っている。腐ったチーズのような部位を取り除き、やさしく甘いカスタードクリームで埋める夜の、アスファルトのひびわれは、怪獣がとおったあと。だれもが、生まれた意味と、生きる意味を、ある時ふいに自問して。こたえをみつけられないで、うちひしがれる。こたえをみつけられないまま、それでも、歩みを止めない。突発的な、アイスクリーム発作。王道に、バニラアイスクリームを欲する瞬間の、夜空に浮かんでいる惑星の、軌道を想って、いまはただ、ガラスケースにおさまったきみの存在を、夢じゃなかったと信じることを糧に、うっすらと膜をはっている「なにか」への憎しみとの共存に、異論はなく。山の向こうの海辺で眠るは、ひとりぼっちのあのこ。
2 0 2 3