母
僕は、虚空という絶世の背をひろげる母を、
青々と硬い風景を、野獣の獰猛が踊り昇る如く情念で、
「貴様この野郎」と──不良少年が親に甘ったれる心情で反逆、
然し、「僕は」の後言葉をつづけることができず、されど、
「あなたを愛している」と泣き崩れた、そが背を翳とし抱いた、
すれば僕の淋しさはくずおれ霞にのまれ、渦巻と風景変容、
刹那 久遠の暗闇が僕を含み、わが身 宇宙に宿らされた、
神経的なこの久遠が宇宙の闇だと識り、生とは現象と識った、
僕は久遠という闇に刹那侍り、永遠風景の流れ往き着く破片、
僕は「わたし」を遠吠えするように、「此処に生きている」
そう、宇宙の母へお便りするために、青々と炎ゆる硬き歌を叫ぶ、
僕等久遠に侍らされた刹那の光、音楽と奇怪に舞踊と生きる、
僕等刹那に磔された久遠の一片、音の如く産れ空へ消える宿命、
君「あなた」を抱いて──それ固有に綾織り光り歌えば佳いのだ。
母