天邪鬼の歌
わたしは 私が淋しさに死にたい想いをすると知るから──
淋しさ噛み締め味わい疵つける苦しみへの同意を生きる意味にした。
わたしは 私がなによりも女性に愛されたいと知るから──
けっして他者に愛されない種と気づき恋愛を禁じた。淋しさを守護した。
わたしは 私が人懐っこく愛に飢えた気分屋だと知っているから──
眼をとぢ孤独という文字のない眼窩に陰翳と浮ぶ詩を部屋で読解する日々。
わたしは 「わたし」が歌いたいとかわゆらしくねだるから──
わたしはそれを慈しみ抱き、注意し理念に操り乍らも歌うがままに甘やかす。
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わたしは 私が沢山のひとに愛読される詩人になりたいと知るから──
無名の底辺へわが魂を突き落とし、其処より昇る匿名の歌を創と記す。
天邪鬼の歌