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なくなったものを、かぞえているあいだにも、なくなってゆくものはある。反対に、うまれるものも。
パンダの親子がやっている、クレープ屋さんの前に、川があって、ときどき、お花屋さんのひとが、白い花を流している。まるで、だれかへの餞であるように、その佇まいはどこか寂しげで、横顔は儚い。ずっと、好きだったひとが、北の、つめたい海のなかで、海底調査の仕事をしていて、メールをしても、返信はとてもおそいから、なんだか、宇宙の果てに旅立ってしまったみたいで、かなしいと思った。けれど、生きているのだから、いいじゃない、というなぐさめを、赤ワインを片手に携えた鰐ちゃんにされて、そうだよな、とも思った。パンダのこどもからもらった、かなしいきもちのときになめるドロップをひとつ、くちにほうりこんで、鰐ちゃんがうっとりとながめている、外国の海の写真集を、いっしょにみていた。テレビからは、いつまでも色褪せないクリスマスソング。
こちらは冬です。
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