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 なくなったものを、かぞえているあいだにも、なくなってゆくものはある。反対に、うまれるものも。
 パンダの親子がやっている、クレープ屋さんの前に、川があって、ときどき、お花屋さんのひとが、白い花を流している。まるで、だれかへの餞であるように、その佇まいはどこか寂しげで、横顔は儚い。ずっと、好きだったひとが、北の、つめたい海のなかで、海底調査の仕事をしていて、メールをしても、返信はとてもおそいから、なんだか、宇宙の果てに旅立ってしまったみたいで、かなしいと思った。けれど、生きているのだから、いいじゃない、というなぐさめを、赤ワインを片手に携えた鰐ちゃんにされて、そうだよな、とも思った。パンダのこどもからもらった、かなしいきもちのときになめるドロップをひとつ、くちにほうりこんで、鰐ちゃんがうっとりとながめている、外国の海の写真集を、いっしょにみていた。テレビからは、いつまでも色褪せないクリスマスソング。

 こちらは冬です。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-21

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