冬の息
都会で、一瞬でも、呼吸、というものがみだれたとき、救ってくれるのは。だれか?わからないまま、夜を迎えて、朝を待つ。触れたら、薄皮が破れそうなほどに鋭く、細い月は青白く、はやく、いやなことなんてわすれてしまいたいと祈りながら、淡く光る、森の向こうを見つめている。あそこには、にんげんになりそこなったにんげんがいて、やさしいくまと、うつくしいわにと、暮らしていて、にんげんにはなりそこなったけれど、じゅうぶん、わたしより幸福そうな感じがして、うらやましいなぁと思っている。
十二月の喧騒から、わたしだけがノケモノ。
冬の息