わたしだけのやさしい生きもの

 テレビのなかのだれかに、いらだちをおぼえるときの、感覚はね。なんとなくだけれど、もうすこしだけ他者に、やさしさをあたえて、あたえられてのバランスを、等しくしていただきたい。
(じぶんかって)
 わかってるんだけれど、そう思いながら、コンビニのチキンをたべている女子高生たちが、なんだか愛おしい生きものすぎて、泣きたくなって、だいぶ情緒不安定。

 0時にまちあわせている。
 怪獣と。

 わたしたちの街は、ふつうで、となりの街は、崩壊している。そのとなりの街は、にんげんではなくて、しゃべるネコが支配しているけれど、街としては成り立っていて、おおきな川を越えたところにある、ちいさな教会は、いつも、さまざまな生命体であふれかえっている。きっと、たましいのよりどころなんだね。わたしがそう云ったとき、怪獣は、とくに興味もなさそうに、ああ、と答えていた。自動販売機で買った、あたたかいココアを飲みながら。

 雪がふってきたから早く、きみに逢いたい。

わたしだけのやさしい生きもの

わたしだけのやさしい生きもの

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-19

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