十二月の羊

 ちきゅう、という星はきまぐれに、ひめいをあげる。真夜中はやめてほしいと思いながら、neoが、窓ガラス越しに月の輪郭をなぞる頃、しらないあいだにうつくしい天使さまとして、この街を守護していた、あのこが、ふれるだけのキスをして。(うた)を紡ぐのは永久的に、ひつじ。夜明けの数時間だけ、おやすみがある、ファミリーレストランで、ちょっと冷めてる感じのグラタンに、なげやりな気分でスプーンをいれて、すくいあげていると、スマートフォンが着信を告げながら光って、べつにしりあいでもないけれど、なんとなくいいなぁと思ったひとの投稿の通知で、じぶんで登録しておいてなんだけれど、うざ、となった。neoは、注文したオムライスの存在を忘れているみたいに、月を見上げていて、ファミリーレストランのBGMに雑じって聴こえてくる、詩は、りゆうのない暴力のようだった。

十二月の羊

十二月の羊

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-15

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