the nude
せんせい、と呼びかける声が空中で、分解した。透明だけれど、なんとなくわかって、図書室の奥まった棚にある、だれも借りたことがないような分厚くて、ほこりでざらりとしている本の表紙を指でなぞって、想像するのはせんせいの、背骨や、肋骨の様子。臓器の配置、は、わたしと共通している。はず。ギガノトサウルスのことが愛しくて、たぶん、せんせいの次点で好きな存在だった。(制服のリボンを、しゅるりと引き抜いて、ブレザーのボタンをていねいにはずして、それで、ブラウスは破けるほどの勢いで、開いてほしい)解体みたいに。どうぞ。
十二月です。
クリスマスという行事を愉しまないと、まるで、非国民であるかのように感じさせる世間の、圧力めいたものを、わたしは吐いて捨てたい。
でも、クリスマスケーキはたべたいという、矛盾。
the nude