ララバイ

 好きなひとが、こなごなになった日。まぶしい、太陽をにらんで、冬を待っているあいだに、あのひとの仮面がはがれて。生きとし生けるものすべてに、平等に、愛をあたえる、聖人みたいなひとが学校の屋上で歌ってる。制服を着た、あのこたちが人形になって、星は腐ってゆくばかりで、比例して、にんげんは病んでいくことを、みんなわかっていて、みんな知らないふりをする。あんぱんに似たおかしを、サクマとふたりで分け合っていたあの頃は、意味もなく幸せだったのだ。やさしい夢から醒めて、他人といっしょにただ、おわっていくだけの十二月。

ララバイ

ララバイ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-09

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted