邦題  手・時計・予言・そして・・煌めく夜空の遥か彼方から・・。

邦題  手・時計・予言・そして・・煌めく夜空の遥か彼方から・・。

europe123

知らない事は幸せなのか・・悲劇なのか・・。

Mutatók, órák, próféciák és... messziről a csillogó éjszakai égbolton... 邦題  手・時計・予言・そして・・煌めく夜空の遥か彼方から・・。



 何よりも面倒なのは空襲だ・・と誰かが言ったが・・。
 東京の数寄屋橋で緒方洋二は将来を約束した北野百合と待ち合わせをしていたのだが、
「少し早く来過ぎたかな・・?」
 東海道線で四時間も掛け会いに来た、洋二を待っていたのは百合では無く、空襲警報だった。
「全く・・此れでは、君の名は、と同じじゃないか?」
 そう呟いた彼が来た時、周囲には誰の姿も見えなかった。 
 仕方がなく郷里の静岡市に帰るしかなかったが、百合との間に約束があった。
「・・若し会えなくなった時には、私だと思って此れを持っていて」
 と、渡されたのは古い腕時計だった。
 彼女の父が、不思議な人に会った時に貰ったという事だが、一体誰なのか?詳しい事は聞く暇がなかった。
 全力で走り汽車に飛び乗った時、警報は聞こえなかったが、こう言うことは偶にある事で、余りにも空襲の日が多い為そんな事もあった。
 其れでも、横浜を過ぎた頃、人々が話をしていた。大本営の偽放送の裏には嫌な事の裏返しが意味されている事が多い。
「東京で、又、空襲があったそうだ。もう殆ど建物などは見えないのに、敵さんもしつこいよな?高射砲も届かないし、迎え撃つ航空機も特攻に使われ一機も見えないのに・・全く鬼畜米英だな・・」
 機関車の吐き出す真っ黒い煙が、窓を開けていれば入り込んでくるから・・と思っていたのだが、此の国で一~二を競う長さの丹奈トンネルに入ったようで、閉めてある窓の隙間から焦げたような匂いと共に煙が入って来る。
 東京での空襲はB29から落とされる500キロ爆弾が雨あられと落ちてき、あっという間に何もかもが無くなっていった。
 東京大空襲の時には、二時間で十万人が亡くなった。其れが、次第に全国に拡がり彼方此方で空襲が行われている。
 洋二の郷里の静岡市でも空襲はあったが、爆弾ばかりではなく始末の悪い焼夷弾。そんな事を考えているうちに、静岡駅に着いた。
「今日は空襲は無いだろう。流石の大型爆撃機も爆弾を積むには基地まで戻らなければならないからな・・」
 



 そんな時代にも、僅かな時間を利用し、消火訓練や、町内の集まりなどがあり、兵隊は御苦労だが、残った病人や少年少女以下に高齢者なども混じり主婦や女性の姿が見られた。
 消火訓練とは言っても消防車が来てくれるわけではない。横に一列に並んだ人々のバケツリレーにより運ばれた水を掛けるだけだから、火を消す事はまず無理だ。
 水といっても井戸水・飲み水は貴重で少ないから、雨水を溜めたものや川・池などの水も使われた。
 古い、差別や矛盾だらけの憲法、に従い、訓練や教育も厳しかったから、誰も文句を言うものなどはいないし、例え言ったところで何も意味がない。
 この国の国民は昭和位まで勤勉実直であり、技術開発に優れ手先が器用と言われていた。
 働き盛りの男達は徴兵で戦場に出ていたり、空襲で亡くなったりしたが、其れでも傷病などにより徴兵検査に合格しなかった洋二のような男性や女性の姿は見られた。
 灯火管制(空襲時にはあらゆる灯り~灯火を敵に見られると、民間人を狙った無差別殺戮空襲の目標にされたから)、家の裸電球(裸電球は蛍光灯と違い、高温になるから触れれば火傷(やけど)をするし、カバーが無く直接紙や布が接触すれば火事になる。)の周囲のカバーに布を下げたりし、真っ暗にしなければならないという厳しい規則があった。
 自分達で身を守らなければ死が待っているだけだという考えは常識。)
 食料も限られ、資源も無い中で実に辛抱強い国民であった。しかし、身を守れる事も正に運が良ければという条件が付いた。
 だから、戦争を起こしてはいけないし、例えどんな理由があろうが、戦争を起こしたどちらの国にも必ず責任はあるという事だ。
 理由が伴わない侵略戦争などはあり得ない。侵略された方にも何らかの原因がある。
 USAなどのように、主義主張の違いを敵にし世界を仲間にしたいが為に、争いをけしかけるというのが人類の過ちだ。
(戦うより、話し合いで何とか戦争を食い止める事の方が大変重要な事である。有利・不利などは関係が無いに等しいという事が分からなければ、国民に多くの死者が出る事に繋がり、指導者としては完全に失格と言えるだろう。
 そういう意味では、領土云々などより戦争を起こさないという信念が必要だと・・分かるものは少なくなっている。今でさえ、気取って「残虐」だとか「主義~ideologyが違う」からと、争いになるが、そういう意味では人類は全く進歩しなかったと言って間違いはない。)



 そんな中でも洋二は訓練で知り合った家が近所の美智子という若い女性がいて、時間はあまり無かったが、話をする事があった。
 洋二は東京に同じ学校を卒業した百合がいたから、そういう点で、美智子にも好感を感じたが、其れを何処かで押さえなければ人の道から外れてしまうとは思うが、 其処が男女の関係の難しいところでもある。
 しかし、訓練をしたりするうちに自然に親しくなるのも無理はないと言える。
 そういう点では、洋二も大いに悩んだ一人であるのかも知れないが、やはり、百合の顔が浮かんで来る。
 其処で、洋二は可能な限り美智子を頼りにしないようにと思う。そんな二人にも思わぬ結末が待っているとは・・。
 静岡市にも大空襲が迫っていた。
 殆ど全国の大都市を中心に空襲は行われた。というのも反撃や防御ができないからである。
 要は無差別大量殺戮が公然と行われたのであり、此の国は侵略戦争を起こしたから当然だと言われようとも、国民感情としては、相手国を鬼畜米英とののしる事も仕方がないと。
 



 東京のように、B29から500キロ爆弾を撒くように落とし、結局、蟻一匹残せんと焼け野原になったのも辛いが、此方はまた違う状況だった。
 空襲警報が町中に鳴り響き、人々は物陰に隠れるどころではない。落とされたのは焼夷弾だった。ナパーム弾とほぼ同じ。
(マリウポリというところで、製鉄所が此れを食らい、最終的に、歴史を知らない兵士達が絶対に戦うと言っておきながら、投降せざるを得なかったのは、油が空からばら撒かれるのと同じ様なもので当然、猛火に変わるように作られており、生物や辺り一面を全て焼き尽くすのみにあらず、それによる約二千度という高熱に耐えられなかったから。作者はこうなる事は予言をしていたから、このブログの記事にもしたし、TV番組にも警告をした。更に、白リン弾という酸素を無くしてしまうものも使用される事を予言している。其の通りになった。何れも禁止兵器。地獄が降って来るという見出しが付けられているが、其れでは此の国にUSAが雨あられと落とした事はどう説明するのか?洋二達は地獄など思っている間も無く被害に遭ったのだから。国際法などは法律が専門の作者は、戦争時には適用されず、勝利した方が此れをあてはめ、戦争犯罪人として処罰する事になるだけだ。要は、勝てば官軍・負ければ賊軍、という言葉が正に当て嵌まる。)
 話を戻そう。
 夜間の空襲も多いが、此の日は昼間だった。
 市内が猛火に包まれ逃げ場も無い。丁度、洋二は訓練中で、美智子と一緒だった。
 二人は否が応でも手を繋ぎ、逃げたのだが、何処にも逃げ場がない。二人が向かった方向に小学校のプールが見えた。
 しかも、運よくプールには水が一杯に入っていた。此れ、実は選択肢など無いのだ。
 二人だけは運が良かったに過ぎない。が・・?



 
 プールの手前で・・二人の手が離れてしまったような気がした・・。
 洋二は一緒にプールに飛び込んだものだ・・と思った。
 というのも・・手を繋いだままでプールに飛び込む事は、危険でできないからだった。
 しかも、飛び込んだ勢いで水中深く潜らないと、油の火であるから、水面でも燃えている。
 少しでも顔を出そうとすれば、油にまみれ、火だるまになる。そういう点で、洋二は運が良かった。
 というのも、息をしなければならない。息を止めているのにも限界がある。其処で水面上に息をしに顔を出し、再び潜る。
 此れを繰り返している間に、辺りを見回す余裕は無かった。通常、手を繋いだままでこれ等の動作をする事はまず不可能だ。
 増してや、手が一旦離れてしまったからには、更に余裕は無くなる。其れが・・美智子との別れだった・・。
 大分経ち空襲が終わり警報が鳴りやんだ時・・。
「・・みっちゃん?みっちゃん?何処?何処なんだよう・・?」
 幾ら・・泣き叫ぼうが・・木霊(こだま)さえ帰って来ない・・。洋二はプールから出、美智子の姿を探し廻った。
 其れで・・何とかなると思った訳ではないが・・其れしか・・無かった。
 其の後、美智子の姿を見る事は二度と無かった。
 洋二は、やっと、美智子の事をどう思っていたのかが分かった・・其れが何だというのか?
 




 舞台は・・東京に戻る・・。 
 数寄屋橋は、既に、焼け野原から回復していた。
(戦争直後の、社会の状況は汽車の貨物車両に乗り食料の芋を買い出しに行く人達で、車両から零れ落ちそうだった。米などは無かった。)
 数寄屋橋には彼女の姿は見られない。
 どうやって彼女に会おうか・・と、途方に暮れた・・。
 というのも・・彼女の家があるところは知っていたが、残念ながら彼女の家は其処には無かった。
 突然・・思い出した。
「私に会えない時には・・此れを・・」
 そう言われ、貰った腕時計はガラスも割れ・・水が一旦は入っていたが・・乾いている・・。
 壊れて止まっていたが、其れを見ては周囲を見回したが・・彼女は現れない・・。
 百合の事と美智子の事が重なっているような気がする・・。
 水はあの時・・入ったんだ・・。
 という事は・・美智子との最後の想い出とも言える・・。
 百合に貰った時計が壊れたのは・・あの時だが・・僕の身代わりに・・?
「まさか・・百合も?きっと会える。あれだけいろいろな事があっても耐えたのだから・・きっと・・」
 そうは言っても、どうすべきかは・・分からない。
 其の時・・突然・・時計の針ががくるくると回りだした。
 二人が約束していた様に、彼女がくれた腕時計は・・まるで生きているかのように・・回転をやめようとしない・・。
 回転している針の残像が見えるだけの如く・・早過ぎる・・。
 時計は・・洋二の手から離れるように・・宙に浮かんでから・・消えて行った・・。
 ・・誰かが歩いてくる・・。
 誰かを探しているかのようだ。辺りを見回しながら・・次第に近付いてくる・・。
 



 視線が合った・・。
 今度は・・時計の残像ではなく・・彼女の姿。
「よく・・会えた・・」
 二人ほぼ同時に目を見つめ・・涙・・。
「洋二・・元気そう。きっと会えるって・・そんな気がしていた・・」
 洋二は自らの腕を見・・。
「・・あれ?無くなった筈の時計・・」
「・・其れ、私があげた時計・・?」
「ああ・・しかし・・?」
 洋二は其の後は言わない事に。
 ・・入れ替わったのかな?と・・。
 美智子が・・百合に会わしてくれたと・・いうのもおかしな話だが・・そんな事・・そう思う・・。
「・・誰の事考えているの・・?」
「勿論・・君の事だよ・・だが・・?」
「でも・・何?」
「・・人を殺したのかも・・」
「・・え?何て・・?」
「いや・・やはり、君の事・・ずっといつ会えるかと思っていた・・。いや、田舎で近所の女性が空襲に遭って亡くなったんだ。其れは忘れられない・・若しかし・・その女性が僕と君と逢わせてくれた?おかしいだろう?」
 暫く宙を見ていた百合が・・。
「あの人なんだ・・?」
 百合の視線を追い・・空を見上げる・・一瞬・・美智子の笑っている顔が浮かんでいる。
「・・気のせい?君にそっくり・・そんな事・・?」
 百合は・・視線を洋二の瞳に移すと・・微笑んだまま・・。
「いえ・・あの人ならそうなんじゃない?私は分かるような気がする」




 二人・・再び宙を見上げた・・何も見えない・・。
「・・どうやら・・君になったのかも・・」
 二人は手を繋ぐと近くのカフェ迄歩いたが・・。
「・・此の手・・君の手・・やはり同じ・・もう離す事は無い・・」
 百合はその言葉が聞こえたのか・・?
「・・そうね・・今度は離さないで・・?」
 洋二は驚いた・・。
「・・え?何て言ったの?」
「いえ?何も・・?」
 百合は、何もかも分かっているかのように笑って見せた・・。



 二人の立っている歩道の前の道を選挙カーが走って行く。
「・・此の国の憲法九条はもう古い・・我が政権与党は国防費を増やし・・国民を守るために・・」
 突然、タイヤがパンクしたようだ。
 ・・あの戦争を知らないお前達に何が?空襲・人体実験の原爆投下・唯一の地上戦地沖縄に未だに基地が・・特攻兵・。
 車の前にあの連中には見えないだろう人達が大勢・・窺える。
 車を押さえているのか・・。
「・・戦争を知らない者には分からない・・奇しくもUSA・進駐軍が今は後悔している平和憲法九条は変えてはならない。権限は国民にあるのだが・・また同じ事になる」
 安部氏銃殺は事件の二年前に記事に・・その他次々其の通りになっている・・再び予言・・?



 だが・・洋二と百合・・其れに美智子は・・もう何も言うつもりはない・・。
「さて・・二人共・・僕と一緒に行かないか?」
「何処?」
「うん?百五十億年彼方の平和な宇宙空間・・素晴らしい文明の母船が中空に見えるだろう・・?」
 二人・・いや三人は、既に漆黒の垂れ幕に代わり、数多と星々が煌めいている夜空を見上げながら・・大きく頷いていた・・。
 最後の予言とは・・言うだけ無駄というもの・・早ければ来年春から・・。 
  



 

「by europe123」
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邦題  手・時計・予言・そして・・煌めく夜空の遥か彼方から・・。

知らない事は幸せなのか・・悲劇なのか・・。

邦題  手・時計・予言・そして・・煌めく夜空の遥か彼方から・・。

経験が無いという者達の憐れな世界・・。

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-12-05

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

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