silence

 音が、乱反射している。くるしい、左胸あたりを、銃弾で撃ち抜かれたみたいな感覚を、わたしは知らないけれど。痛みはじわじわと、蝕んでいく。神経を。正常さを。嗤ってる、裏側の、だれか。(わたし?)明滅をわすれた、街灯は、夜空の星をすこしだけ霞ませて、生身のからだをうしなった、エヌが、けれど、にんげんとしての性をすてなかった、あの瞬間の世界のまばゆさを、月はみていた。
 海が凪ぐ。
 砂に眠るあのひと。
 死んだ恋を埋める行為。
 永遠を嘯く人類。
 緑の声。

silence

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-11-25

Copyrighted
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