その存在
命のやわらかさに、おびえる。宇宙にある、なまえもしらない星がどれくらいの頻度で生まれて、消滅するのかはわからないけれど、すっかり冬めいてきて、海の色がなんだか、くすんだ青にうつりかわってきた頃に、あのこたちは、ただ、そこにいるだけのものとなったので、はくぶつかんにおさめられた。やさしいわにが、わたしになみだをながさせるための歌を歌い、器用なしろくまが、わたしのからだをあたためる大きなブランケットを編んだ。ともだちの恋人のアンドウさんが、わたしが好きな春の海の写真を拡大して、一枚の絵画のように額にいれてくれたものをプレゼントしてくれた。月からの新人類が、この星の人口の三分の一を占めるまでに増えてきたけれど、とくに問題なく、世界はまわっているから、漠然とだけれど、よかった、と思っていて、なにより、わたしがたいせつにしているひとたちがそこに、いる、だけで、それで幸せだった。
その存在