理解と時間の先に至るもの

その子はキレイな花が欲しかった

探しても探しても 見つからなかった 

その子は悲しんだ

どうして自分は見つけられないのか

見つけた人達がうらやましかった

やがてその子は気力を無くしてしまった

もう自分には手に入らないと

悟ってしまったからだ

無意識に持って帰った花は

色鮮やかとはとても呼べないものだった

その子はその花を愛せなかった

時がいく分か過ぎ去った

持って帰った以上は仕方がないと

キレイとは言えない花を育てていた

水を上げると葉に水滴が乗っかる姿

日に照れされて隅に映るシルエット

枯れた花は土に還り栄養となる

一部は鉢植えからこぼれたが

掃除が苦には感じなかった

その子は1番や2番は得られなかったが

頭にすら浮かべなかったその花に

今ではかつてない愛着を持っていた

理解と時間の先に至るもの

理解と時間の先に至るもの

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-11-01

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