まぶたの奥

水面下では穏やかに想いの限り遠くへ 明日へ
水平線に浸る月も大きく今にも落ちてきそうに
信じられないと思うけれど正夢を見るときもある

胸がつまって比喩も喧嘩も何もかも
描けなくなってしまった
空っぽだと思ってたけれど

夢に落とされて 兄さんとスキーをした
雪景色が美しかった

想像だけなら
こんなに リアルに
こんなに きれいに
描けるのに
僕の筆は止まったまま

想像だけなら
誰でもできる
何が才能だ 
僕は筆をへし折った

もともとは歌いたかった
でも歌詞しかかけないから
夢の中で楽器を演奏している
うまく音が出ない

現実だったら
あんな風に 優しく
あんな風に 激しく
奏でられるのに
僕の筆は止まったまま

想像だけなら
誰でもできる
何が才能だ 
僕は筆をへし折った

水面下でまた兄さんと話してる
笑顔で話すなんてどうかしてる
何か思い出すたびに何度も出てくるんだ

兄さん、あの子、君
現実は目をそらされてばかりだったのに
何年も出てくる
胸のつまりを叩くかのように

まぶたの奥

まぶたの奥

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-28

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