夢のライオン

 わたしが星々へ飛ばした憧れの風景画には
 睡りこけるお日さま色の雄ライオンが
 砂のような草原に巨きな身をうずめていて
 のっそりと おっとりとした眼をひらいているの

 ライオンもまた砂のようなタッチ
 周囲と溶けこむような柔らかな光にみちみちて
 此方のわたしをやさしい眸で眺めたかと想うと
 そっけない素振りで くるりと太陽の源へあゆみはじめた

 そう あなたはライオン 夢に睡るライオン
 太陽とおなじ色をして ふさふさと鬣をやさしい風に揺らし
 あなたはライオン 何処かで睡るおおきなライオン
 わたし 睡る「あなた」を信じています 心から 心から

 わたし あなたに手をとられて
 ひっそりと夜の風景画へ伴れこまれてみたい
 夜の闇と夢のあなたに疎外に淋しい頬うずめ
 夜の粒子にわたしはわたしを剥くの 躰から 愛しているからだから

夢のライオン

夢のライオン

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-18

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