ある十月の終末
ノノ。あのこのからだの、むきだしの管、銀色の、ぼくらとは異なる色の血液がながれている。好きだったひとは花を吐いて、街は永遠の眠りについたまま、電源もはいらなくなった、たくさんの機械人形。海に、せんせいが投げ捨てた懐中時計が、さかなについばまれながら、底に沈んでいくシーンを想像して、焼きたてのホットケーキにフォークを突き刺し、つまんないテレビ番組にうんざりする、まよなか、星の声を聴く。機械仕掛けのノノも、花を吐く病だったあのひとも、よのなかのすべてに裏切られた気分になって壊れたせんせいも、ぼくのことを、あたらしくうまれてくる赤子よりも愛しいと抱いてくれた半獣のひとも、みんな、ひとつの夜を越える瞬間はどうか、おだやかでいてほしいとひそかに祈りつつ、ふかふかのホットケーキをくちのなかにおしこむ。(ん、おいしい)
ある十月の終末