明日の日記

プロローグ

カーテンの隙間から朝日が差し込み目を覚ます。今日もいつもの日々が始まる。朝にはありふれた市販のパンを口にする。味など関係ないただのエネルギー補給だ。飛び出すように家を出る。日光に顔をしかめ最短ルートで最寄り駅まで向かう。ぼく、池上壮太は今年で十九になる大学一年生だ。高校卒業と同時に親元から離れ家賃の安いボロアパートで一人暮らしを始めた。キャンパスは山の中腹を開拓して作られており交通が不便だが多くの緑に囲まれている点に関しては気に入っている。入学当初は新しい生活に心躍らされたものの、生まれつきの人より暗い性格のおかげで、半年たった今でも校内ではいっしょに講義を受ける友達はおろか一言でも言葉を交わす者はいない。周りからはどう思われているか知らないがよくは映ってないだろう。最初のうちは多くのものが大学内で群れを成すため自分にも声をかけるものが多かった。しかし、自分にはコミュニケーション能力というものが欠如しており次第に話しかけてくるものも少なくなっていった。当初はそれで満足はしていなくても不満はなかった。そこそこの大学をそこそこの成績で卒業し、そこそこの企業に就職し、そこそこ幸せな生活を送る。これこそが自分に合った人生だと思い、自分が成し遂げられる最大限の人生だと思っていた。その考えは今も変わっていない。ただ今のままではそれを成し遂げることすら困難のように感じている。変わろう。そう頭の中で反芻し帰路に就く。

明日の日記

明日の日記

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-16

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