十月のデイドリーマー
(肉の蠢き。胎動。だれかが刺し殺した、夜という生きものの、血。白いベッドに、ふたりぶんの重み。つめたい、ゆびわがおちて、ころがっていく。ノアの胸に耳をあてて、安らかな眠りを、等しくあたえられていてほしいと思いながら、まぶたをとじる。ゆめのなかで、せんせいが、わたしを好きになる。無数のちいさな、青い花を吐いて、嗚咽をもらし、跪いたままの、やさしいばけもののせなかを、ノアはさすってる。インスタントコーヒーを飲みかわして、コイビトどうしになったせんせいと、わたしが、なまえもしらない星が投影された球体をながめて、未開拓の、海もなく、ただ、赤っぽい土だけがある、だれもいないまっさらな星のことを、ふたり、想っている)
十月のデイドリーマー