スターダスト

(そらからふる、ほしが)
 睫毛に宿る頃、色彩を喪った彼の指先に小さな光が灯り、知らない誰かの哀しみをも吸い上げて、蒸発させてしまう。願い事を唱えるのは、ひたむきに純粋で、愛らしく無知な子どもたち。真夜中の水族館で、母なる海という存在に抱かれることもなく、ただ泳いで死んでゆくばかりの海洋生物への、わたしからの拙い慈悲。透明な壁の冷ややかさに、かるく絶望して、永遠に下がったままの遮断機の前で、立ち尽くす人みたいに。
(ほしが、やわらかいものたちにつつまれて、ねむる)

スターダスト

スターダスト

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-10-03

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted