死せる時

それは融解の誘惑の導きに抗えなかった時

それは水がとても心地よく感じる時

雨でも、海でも

目の前が霞む

白濁の世界

泳げる錯覚

モノクロの手招き

土に還るイメージ

灰となるイメージ

海へと撒かれる

灰の一つ一つがスカイダイビングしてるみたいだね

ここがあの世へつながる扉か

海に映る廃墟は夕焼けに輝く

籠るオルガンが身体の内側に鳴り響く

ここが深海

白いオーブたちが歓迎してくれる

やがて深淵が覗き込む

手を叩き微笑う

その笑みから溢れるロマンス

甘やかな夢は泡となり身を包む

あらゆる生命の営みを眺める遊覧飛行

月が揺れる

疲弊した体に月の光が染み込む

布団に潜り込むように沈む宛のない行先

無音の世界が身を包み、内から世界が生まれる

水色の宇宙、カモメは飛び、アヒルは泳ぐ

さざ波の音が延々と聞こえる真っ白な砂浜

人の営みがスクリーンに浮かぶ

切り離された実感が湧く

手頃な石がそこらを転がる

無限に水切りを楽しむ

気が済んだらそこらに転がって眠ろう

石になろう、意志になろう

気が向けば、人の営みへ毒電波を送ろう

ポップコーン片手に暴れ狂う人を眺めて楽しむのさ

はあ、現実は懲り懲りだ

人の心があり続ける限り、また人として生まれてしまうのだろう

そう思うだけで疲弊する

何もいらない

虚無は憩いの空間となる

人の声が聞こえる気がするが気のせいだ

耳を塞げ

内なる音楽を呼び覚まし、それに合わせて踊り続けよう。

リズミカルに

嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!

メロディーに乗せて

嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!

パートが移り変わる時に

うるさーい!!

しかし、口は泣き出しそうになる

発作、否、発端

耐えきれず泣く

しかし目は死んだまま

嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!

嫌だ!嫌だ!嫌だ!オギャー!

嫌だ!嫌だ!オギャー!オギャー!

嫌だ!オギャー!オギャー!オギャー!

オギャー!オギャー!オギャー!オギャー!

オギャー!オギャー!オギャー!オギャー!

元気なお子さんですね、じゃないよ。。。

何も、元気じゃないよ。。。

決めつけんな。。。

死せる時

死せる時

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-27

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