重ねられた掌

少年期の僕を自殺の危機から救った中原中也への恋文のようなもの。

淋しさに爛れ、神経の剥き出しになった僕の掌に、
おなじ淋しい香気を曳く掌の幻影 歌と重ねられたことありました

僕の淋しさ いきれを毀すようにほうっと慰みに散り、
大切にしたい淋しさは淡くなり、内へ沈んで往くのでありました

身を折るような不連続のいたみは、不連続の連続に慰みをえます、
とおくへ抛られ硬質に照る星々は 掌に降る淋しさの不連続の耀きです

嘗て 銀の群青の星空から 一条清む孤独が注がれたように、
あなたの詩が僕の掌に重ねられました、憧れという名のそれでした

  *

僕は死の際でやつれた掌を眺めると、あなたに生かされたそれ想い、
星から降りそそぐ銀の光を反映させるように、ちらちらと艶うごかすのです

重ねられた掌

重ねられた掌

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-25

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