贄
錆びついた時計
動きたくても動けない
軋む音は苦しみの表れ
それはあらゆるところに散らばっている
全てを助けるべきなのかもしれないけど人はそう万能じゃない
せいぜい、目の前に転がる時計のみ
経験や、中途半端な知識
それでは足りなくて
贄もまた必要だ
人の手に余る領域は神に頼らざるを得ない
だから、この先
僕の愛が拒まれようが
僕の心が殺されようが
僕が未だに執着していようが
僕が後悔しようが
僕が寂しさに押し潰されようが
僕が悲しみに打ちひしがれようが
僕が憎しみを抱こうが
僕が気が狂ってしまおうが
僕が病気になろうが
僕が希死念慮に負けたとしても
それら全ては贄となり、君の時計が軽やかに動き出し幸せでいられるのであれば、僕はなんだっていいさ。
贄