錆びついた時計

動きたくても動けない

軋む音は苦しみの表れ

それはあらゆるところに散らばっている

全てを助けるべきなのかもしれないけど人はそう万能じゃない

せいぜい、目の前に転がる時計のみ

経験や、中途半端な知識

それでは足りなくて

贄もまた必要だ

人の手に余る領域は神に頼らざるを得ない

だから、この先

僕の愛が拒まれようが
僕の心が殺されようが
僕が未だに執着していようが
僕が後悔しようが
僕が寂しさに押し潰されようが
僕が悲しみに打ちひしがれようが
僕が憎しみを抱こうが
僕が気が狂ってしまおうが
僕が病気になろうが
僕が希死念慮に負けたとしても

それら全ては贄となり、君の時計が軽やかに動き出し幸せでいられるのであれば、僕はなんだっていいさ。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-17

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