確かめる

 世界線から、落下した瞬間の、記憶の倒錯は、だれにもじゃまをさせない、あのひとの、愛情のあらわしかたに似ていた。二十四時に、つめたい風が、頬を撫でて、海辺でふたり、寂びれたホテルをめざして歩いてゆく。ラララ、と、口遊む少女と、あらゆるかなしみを享受し、骨・血肉にする、神さま的な存在である、アルビノのくまが、森を愛でているあいだ、ぼくらの星はすこしだけ、傷のいたみをわすれる。まじわる、というより、かさなる、という方が、より、好きあっている感じがしていいよね、とは、きみの感覚で、ぼくは、どちらもおなじような気がすると思いながらも、そうだね、と答える。わからないけれど、わからなくはないから、否定はしない。コンビニでアイスを買っていこうと提案すると、きみは、さんせい、と微笑んで、かろやかに跳ねる。ぼくのみぎてをにぎったままで。

確かめる

確かめる

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-08-04

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted