トンネルの先

 わからないという言葉がぴったりの今の自分。ある人に言われた言葉がふとした時によぎっていた。
『誰もいないから諦めたんでしょ?』と。
深く、深く心根のほうに刺さってしまった。そのトゲはもう抜けない。悪性のものじゃないと思うが。
お腹がすいたからご飯を食べるとか、眠たいからベッドに入るとか、人間の生活を繰り返すうちにわからないことが増えていく。
ひとりになっていく。
逆に、ひとりで耐えれる出来事がなくなっていく。
変化を求めるが変わりたくないという相反。
「私は、ひとりだから諦めてきました」
そうやって素直に、あの人に話せていたら。
一日の終わりが何か変わっていたのかな。
生活のある部屋で涙が流れた。自然と一体になれたなら自分はこれからどれほど楽になるか。
ひとりになりたくないよ。
嘘だ。
私は誰よりもひとりになりたくて、なりたくて、ずっと人に合わせてきた。
合わせるという地獄に浸かりきったこの身体と頭はもう取り返しがつかないかな?
笑うこと、笑わせること、笑われること。
人が怖くて自分のことを話せなかったこと。
過去の泥みたいな思い出を忘れたいよ。忘れたいなら自分を捨てよ。
前にも後ろにも、ただ立ってることすら苦しいよ。
圧倒的な光に向かって歩きたいだけ。今は。
光がもし光でなくても、幻でも、私の目にもわかる何かならそれでいいから。
追い詰められて瀬戸際まで。
何か見える? 何が見える?

ただいま。

トンネルの先

トンネルの先

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-07-09

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