双つの神
跪け、わが魂よ、無個性なる心よ、
平伏して、理不尽なる異教徒神に 頭をがしと掴まれて、
地に額を擦られながら、肉を裂かれることよしとして、
憎しみを心臓に刻み、次の風景に跪くことをせよ──かの燦爛たる月光。
呪え、わが魂よ、非人格の領域よ、
貴様の後頭部を掴む、澄みきった硝子製の腕、
背後に拡がり四方を閉ざす硝子盤 彫刻の翳波うつ「現実」なる神、
俺は貴様を憎んでる、つまりは愛し信仰す、故に反逆の刃を投げつけよう。
燦爛たる月光 死と虚空を照り返し、
硝子盤なる現実もまた、それ等孕んでる──俺が、そう還元したからだ。
つまりはかれ等、双頭の一神か?──美しく、冷たく硬いのがその明証、
俺、硝子製の気体に横臥しおよぐよう──
わが身は死と虚空でのみ寛げて、されど憎め、青の血と銀の精を迸れ、
ひとは何かに跪く──されば詩人に必要は、跪く神、反逆を打つ神の双頭。
双つの神