朝景色
繭のなかで、あざやかにねむっていてね。
まぶたのうらには、きみたちが色づく季節。
地球のうらがわの、夜と朝のはざまで、ゆりかごにゆられながら、本を読んでいる少女。
わたしのからだに植えつけられた、花の種が芽吹く頃には、おだやかな拍動に甘やかな熱をあたえて。夏。
たたかっている。ひとたち。
だれかと、もしくは、じぶんと、いきるために、きずつき、きずつけあっている。この星の生命体。永遠につづく祈りにも似て。
(あれは、幽霊船)
海をみていた、せんせいが指をさしたところに浮かぶ、ぼんやりかすんだ、船。そのむこうには、わたしのしらない世界がある。 そこは楽園? はたまた、地獄? せんせいとわたしは、せんせいがいうところの幽霊船を横目に、歩き出す。近くの喫茶店で、モーニングの、あずきバタートーストをたべるために。
朝景色