金曜日

写真の中の時間は止まったままだ
止まったまま色褪せていく
空も草木も君の笑顔も
僕の手の中で色褪せていく
だけど不思議なことに僕の頭の中では
それはとても鮮明なのだ
写真と同じ構図の君と、君を取り巻くすべてのものが
色褪せるどころか僕の頭の中で
逆にどんどん鮮やかになっていく
風が吹いて木々が揺れて光が踊って
それは留まることを知らず
現実よりも遥かに鮮やかな夢になろうとする
そして僕にはそれを止めることが
絶対に出来なかった

金曜日

金曜日

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-05-14

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