幼虫の星

 すこし透けたように濁った泥の星は、すべての生き物が毒を持つ幼虫たちの世界だ。彼らは産まれてすぐに食べられるか、もしくは他の生物を食べてその毒によって死ぬ。その死の間際に夥しく戦慄き単為生殖をする。ただそれだけの繰り返しが機械的に続くこの星では誰も長くは生きられないし、大地は肥えることなく腐り落ちてゆき、生物の進化など起こるはずもなく永遠に幼いままだ。彼らは痛みを感じずに食べて食べられて毒を撒き散らすだけ……まるで人の影のように。

幼虫の星

幼虫の星

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-05-08

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