Sea

 ララ。甘やかな吐息を、して、水槽のなかのきみたちを、慈しむ。真っ赤なバラが咲いている、庭で、あのひとの骨の感じを想像していた。色。触り心地。ざらざら、なのか。つるつる、なのか。想い描いているあいだに、時間が一瞬、飛んで、その一瞬で、狂うなにかもあった。ぼくらは永遠ではなく、ぼくらを含め、この世にそんざいするもののほとんどが、永久的ではなく、長い目でみれば刹那的で、儚く、脆かった。たとえば、宇宙からみた場合。

 ララ。パンやさんで買った、チョコレートデニッシュを食べながら、だれのこころも傷つかない方法、という、感情のそなわったニンゲンには答えのない問いのような、そんな途方もないことをまじめにかんがえている。

 細胞。
 微生物。
 おかあさんのうでのなか。

Sea

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-04-12

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