フォレスト
森で、であいました。
きれいな花をくわえている、ひとたち。しゃべらない。くちを、ひらけないのです。花のせいで。
この星は、もうすこししたら、冷凍されます。神さまが設定したのか、氷河期、というもののおとずれによる、自然淘汰。生き残る生命体が、真の、この星の住人であるのだと、かなしそうに、森のいきものたちは言いました。わたしは、とっくのむかしに、だれともつうじなくなったスマートフォンを、森の土に埋めようとして、でも、それは、よくないことなのだと、きれいな花をくわれているひとに、おしえられた。言葉ではなく、表情で。
(i、というものをあたえてくれたひとへの懺悔として、わたしは、わたしを、てばなす)
拝啓。
海。
すべての、みんなの、おかあさんへ。
わたしの好きな、オルカ。あのこだけでも、選ばれるものであってほしい。
スマートフォンをすてることを、あきらめて、花をくわえているひとに、手をひかれ、森を行きます。
フォレスト