四月の詩
めかくしをして。
こわいものから、にげるみたいに。ふあんなものを、排除するみたいに。
テレビを消す。
金糸雀。ぼくの声がきこえない、のか。もう、きみは、ただの、やさしいだけの存在になってしまった。暴力性は皆無となり、ついでに、個性、めいたものも失ってしまって。
よかったのか、わるかったのか。
わからないまま、たぶん有名ではない、たまたま、本屋さんの詩のコーナーにあった、タイトルに惹かれた詩集を、ぱらぱらとめくる。言葉は、あたまにはいってこない。支離滅裂、ではなく、たんじゅんに、理解不能なのだ。金糸雀は、生きる気力までなくしてしまったのか、ぼんやりと、パソコンの画面をみている。逆らわずに、順繰りに、再生されてゆくだけの、動画。真夜中なので、ときどき、星の啜り泣く声がきこえる。星も、たいへんなのだろう。そう、しみじみと言ったのは、住んでいるマンションの一階にあるコンビニの、店長さんだった。
春の夜は、香辛料のにおいがするね。
四月の詩