凪ぐ
偏愛。おぼれる魚。群れで、光ってる。水面は、うつくしい、平らかなままで、星の声も届かない。孕んだ、やさしさに埋もれて、爪を立てることも忘れた。ねこ。きみのひざのうえで、まるまっている。ぼくらが、うまれるまえの歌を聴きながら、明けない夜のゆくえを想い、クリームパンをかじり、ためいきをこぼし、森に侵食されつつある街の、闇に溶けた深緑の樹々のざわめきに、あわだつ。
へいおん。
それが、すべてであれば、そうすれば、生命体の呼吸は、つねに安定し。
だれをきずつけるようなことも、なく。
おだやかに。
おだやかに。
画面の向こう、海を越えて。
凪ぐ