うつしよ

 春の詩。こだまする。海のなかを。伝播し、ふるえて、うまれる。波。
 さみしい魚たち。
 安らかな眠りを乞い、やさしさをもとめて、泳いでる。空と海が、いれかわる夜。あいまいな記憶をふりかざし、あのひとがあたえてくれようとする。愛。無償の。
 指先より。

 声が、胸を突いた。
 ギターの音に切り裂かれ、ひらかれた。
 からだ。
 甘やかな痺れに、親和性。
 十九時のテレビは、全体的に、にぎやかしい。街は、さいきん、ふたたび、街らしい空気を取り戻し、ひとびとは楽しそうに、三月を謳歌する。

 ぬるくなったカフェオレを飲みながら、本を読んでいるあいだに、世界が平和になっていればいいのに。

うつしよ

YouTubeでRouageの「Queen」をリピートしている2022年まもなく3月もおわる

うつしよ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-28

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