春嵐

 ねこのことを、わすれてしまわないように。狂った時計の針と、童話のなかの女王さまと、だれかを想う気持ちで赦される罪と、うつくしいだけの星の海で。おどる怪物。
 二十時。
 万物が滞りなく、数ミリ以下の単位で、歪む頃。
 雨なのに、どこかで、花火を打ち上げている。酔狂、というのか、趣がある、というのか、わからないなぁと言いながら、宅配ピザを食べている。せんぱい。まどがゆれるほどの、風。きっと、朝になればアスファルトに、花の残骸。テレビのなかのにぎやかしさを、忌々しく思う瞬間にうまれる。ことばにしがたい、なにか。ピザといっしょに、咀嚼して、こなごなにして、なくして。血肉にも、骨にもならないでと祈りながら、コーラを飲む。

春嵐

春になると聴きたくなるのが、ENDLICHERI☆ENDLICHERIのソメイヨシノ。
Cowardだと、故意、雄、Six Pack、美しく在る為に、これだけの日を跨いで来たのだからも、好きです。

春嵐

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-26

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