純化

 てきかくに、抉る。
 星の、腐っているところを、容赦なく。
 まぼろし。
 海のなかから見上げる、太陽みたい。
 椋鳥が、かなしみを抱いて飛ぶ。夜の森。ナイフをもった少年に、パウンドケーキをあたえる、きみ。アルビノのくまに贈られた、花の冠。ぼくらの悲鳴など、きこえないふりで、植物に支配された街は、きょうも、にんげん以外のいきものにだけ、やさしい。なまえもしらない、だれかの画集をながめているあいだに、恋だの、愛だのは、わりとかんたんに、うまれて、しんでをくりかえして、ちょっとかなしい。
 アルビノのくまの、神秘的なまなざしに、ぼくは、透明になる。
 椋鳥と、少年と、きみと、アルビノのくまの、調和。
 刹那的。

純化

純化

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-20

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