天 / 空
こどものための国で、ただ漠然と、生きている理由をむりやりにさがそうとしている。ぼくら。
せんせいが、だいじょうぶ、という。
なにがだいじょうぶなのか、よくわからない、だいじょうぶ。でも、せんせいのいうことならば、だいじょうぶなのだと思いながら、球体水槽のなかに自ら入っていく、自殺志願者たちをながめている。午前二時。もうすぐ朝になるよね、と、天くん。そうだね、と、ぼく。この街は、いつになったら眠るんだろうね、と、天くん。眠れないから、しにたいひとがふえるのかも、と、ぼく。慢性的な不眠症なのかな、と、天くん。さあね、と、ぼく。
空の月は、はんぶん。
せんせいは、きょうも、ぼくらのために、だいじょうぶ、と、うそぶく。
ネオン色に染まる、まるいゆりかご。
天 / 空