川

お休みなさいと云われたので

宵の床で男は布に(くろぶし)をくるみ

滑べらす

荒地をあるいた皮膚が真新(まさら)な絹を裂いた



さっき飲み込んだ水のことを考えている

するともう遠くへいってしまった川を思い出すことができた

だれも見ることのない夜半(やはん)の水面

 とすればいま あの瀞は世界から抜け落ちている

世界にはないもののほうが多い

わたしがひと時世界から失われているあいだにも

絶えず流れるものがあると信じる

やすむとはそれらに包まれることだ


 あす、きみの足を医者に見せよう

そう言った人の名を口にこぼした

 /as ssif ling-e cio gi cor zhu te-rius i

あの声もここではないところで

密やかに眠っているだろうか

 /りん

  とうち鳴る舌

彼の髪が光に(たなび)いた

夜が()りはじめ

(まばた)きの喪失と喪失のあいだに

やはり川は流れていた

寝ているあいだの換気扇とか、カギを閉めたあとのホールとか、そういうの
私は夜中の川がいいのでこんな感じです。

あと かかとがガサガサになって布に引っかかるんだよなぁみたいな気持ちも入っている(直球)

あの声もここではないところで 密やかに眠っているだろうか

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 冒険
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-06

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