旅情の起点

旅情の起点

前作 「旅情の果て」 slib.net/111070

聞き手視点です。

旅情の起点

(口の動きが止まり、窓の外を見ている。)

(この時、あの人の世界に私はいないのだ。)

(また、旅に出ている。砂時計の砂が落ちるまで。)

(どこかの国で、何かを見つけ、はしゃいでいる。)


(「帰ってきた」この人は思慮深く、私を認識して、自身のことも「理解」した上で「語る」。)


(「理解」と「常識」の合間に佇むこの人は、穏やかだけれど寂しそうである。)

(私は知っている。「理解」「常識」に常に張り付くのは、この人の「計画」と「地図」であるということ。)



(さみしそうなこの人の手の中に使い古された「時刻表」が収まっている。私はこの人の話を聞いても、この人への「同情」は「飲まれること」と知っている。……………。だから私はいつも同じ笑顔でこの人に会っている。)

旅情の起点

旅情の起点

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-03-02

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