腐乱

 リツイートの、奇跡的偶発に麻痺する。感性が濁って、自我が、すこしばかり狂う。深夜に、突き刺してくるのは、非常ベルの赤。しんじつをくらませる、インターネットニュースのなかに、欠片ほどの善行。だれかの声で、目を覚まして、コールドスリープしていた、愛するひと。こんな世界に放り出すくらいなら、あなたは、一生、そのなめらかな流線型のカプセルに護られていて。冬の終わりを告げる鐘が鳴る頃、星に見限られてなければいい。人類。ぼくのなまえを呼んで、ぼくの醜い欲望を叩きつけても微笑み、抱擁してくれるだけの、あなた。あれは、生命維持装置を付けた棺桶だと言った、百舌鳥(もず)。腐った都市部からのエマージェンシーは、半永久的につづく。

腐乱

あたらしい機能を、試してみたかったのです。
BGMが「十字架との戯れ」だったことも、あります。

腐乱

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-02-23

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