マボロシ

 ララ。花が枯れる。からだが、ひめいをあげる日。こころをともない、くずれてゆく。瞬間的な、殺意を、丸呑みにして。あのひとたちが、ぼくのたいせつなものを、ころしていく。ばか。なんて、こどもみたいに叫んでみる。あれは、幽霊船。海は深緑色で、真夜中はきみの城で、分裂はそこそこ得意で、ララは、いつも、他人を祈ることで精神を安定させている。星からの投身自殺と、獣との交わりに、それは罪ではないよと微笑むドール。やさしいにんげんという、にんげんの定義、とか。水のなかで、春まで、きみと揺蕩って。半透明の国。

マボロシ

マボロシ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-02-22

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