循環

、つづいてる。あの時捨てられなかった気持ちはどこかへいっちゃったけど、あの時捨てられなかったちいさいまるい石は、まだ、窓辺に在る。一時期ハマって食べたパンのかたちのさくっとしたお菓子は、もう、売ってない。ときどき思いだしてみるけれど、ハマってたはずなのにな、味は、どんどん、わすれてゆく。でも、好きだった気持ちはまだ、肺のすみっこあたりに在る。ぼくを構成してる細胞が、いつから在るものなのか、いま在るものがいつ死んじゃうのか、わからないのに、ぼくはぼくだって思ってる。わすれられないことを、変わってゆくぼくが、じゃあどこでおぼえているのか、わからないのに、ぼくはぼくだって思ってるんだ。変なの。かな。こんなことかんがえてると、足元が揺れて、そうするときみはそれに気づいて手を差しのべてくれる。きみがいる。ほんとうだろうか。いつか、いなくなっちゃうことだけは、確か。いつまでもおぼえていたい。でもぼくはぼくのどこできみのことをおぼえていられるのかわからなくって、おそろしい。生きているあいだだけつづく永遠、きみが誓うから、死ぬまでは、信仰。だいじょうぶ、つづいていく、

循環

循環

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-02-02

CC BY-NC-ND
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