墓標

 これは人の生きた証。夢を諦めて、命を投げ捨てても、叶わぬ願いがあったのだ。愛、希望、信仰……誰も損なわれない理想郷。かつて死んでいった多くの友たちは皆大切なものを知っていた。ただそれに気づけなかったばかりに自殺していったのだろうか。そう、こんなちっぽけな悲しみの燃えかすですら誰かの生きた証なのだ。だから音楽は絶えなかったのか。届け、届け、あの雲の向こうまで。どうか安らかに眠ってくれ、お前にはそのための翼がある。

墓標

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  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-02-02

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