ひとつの終わりの日に

ひとつの終わりの日に

雪水 雪技

ひとつの終わりの日に

あの不安定な光を天使と呼んでから
随分と長く目を閉じていた
生きていると同時に
いつでも死んでいた
眠りを繰り返して練習
いつか目覚めない日に
お別れも言うことなく
真っ白な便箋みたいに
殺風景に生きてみたい
余白に余計なものを
落書きしつづけて
いつか怒られた
あの日に思った

罫線の上に隙間なく文字を埋めていく
人が生きているからペンの休まる日は来ない

(過酷よりも充実を求めはじめてからは
天気は随分とやさしくなったとおもう)

あの吹雪と霰は私が呼んでいたのよ
だって平穏より苛烈を求めていたじゃない
誰よりも早くここから抜け出すために
努力を偽装して、自己犠牲を優しさと偽り
私は、巧妙に、早く、早く、

(いい人と呼ばれて逃げ切るつもりだった)

残ったのは口惜しさ
残ったのは空虚さ
残ったのはこの身
残ったのはこの命
残ったものは本当

てるてる坊主を吊るして
金の鈴を鳴らしながら歩く
太陽は雲の向こうで揺れている
青空は薄く広がって
冷たい風を呼んでいる

どこを歩こうとも
もう急ぐことは無い
誰かの背を追うことも無い
好かれようと、嫌われようと、
私が与えられるものは限られている、
私は受け取りたいものだけしか受け取らない

愛想は良くあるが
嘘はつくことはない

(しかし正論など言うものか)

悪意が芽生える日もあるが
善意の行動をする日もある
何も筋が通らなくとも
今日を生きられるのなら
後で帳尻を合わせるだろう

真っ白な生き方を望んだ鮮烈の日々
あれを青春と呼ぶのであれば
私は人並には生きてきた

雑然とした今日までをめくって
休むことのないペン先を労る日

ひとつの終わりの日に

ひとつの終わりの日に

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • SF
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2022-01-09

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